水中加工と油中加工のメリット・デメリット

水中加工と油中加工の違い

 さて、水中加工と油中加工の2種類があることは説明いたしましたが、加工液が違うことでどの様に変わってくるのか説明いたします。
 まず、簡単に下記にそれぞれの違いを列挙します。

  • 1. 抵抗値の違い
  • 2. 仕上がり面精度
  • 3. 加工速度
  • 4. 対応ワイヤー線径
  • 5. 錆の発生有無
  • 6. 加工機本体の値段

それでは、ここからそれぞれの項目について説明していきます。

抵抗値の違い

 実はこの違いがあるからこそ、後で後述する「2. 仕上がり面精度」「3. 加工速度」「4. 対応ワイヤー線径」の違いにもつながってきます。
 まず、一般的な水は純水でない限り電気を通します。これは水道水であっても水以外の物質(不純物)が含まれているため、電気を通してしまいます。そのため、水タイプの加工機ではイオンを除去する装置があり、抵抗値を50,000~100,000Ωになる様に調整して加工を行っています。
 一方油中タイプで使用する油は、抵抗値が1,000,000,000Ω程度あり、抵抗値がとても高いのです。そのため、絶縁破壊するための電圧も当然高くなりますし、絶縁破壊するための距離も近くなります。
 絶縁破壊する距離のことを放電ギャップと読んでいますが、水タイプに比べて油タイプの方が細いスリットができる理由はここにあります。

仕上がり面精度

 仕上がり面精度は油タイプに軍配が上がります。
 水タイプも最新の機械ではかなり改善していますが、弊社にある10年前の油タイプの加工機の最良面精度にはかないません。

加工速度

 加工速度は水タイプに軍配が上がります。
 弊社の加工機でいうと、同じ材質・同じ形状・同じ様な精度を求める加工でも、2〜4倍差が出てしまいます。

対応ワイヤー線径

 対応ワイヤー線径は油タイプに軍配が上がります。
 さらに、放電ギャップが小さいことも油タイプの特徴ですので、直径0.05mm以下では油タイプの方が優れています。

錆の発生有無

 錆の発生有無は油タイプに軍配が上がります。
 水タイプの場合、どんなに工夫を行なってもサビの発生が認められます。特に微小部品で材質が鉄系の場合は、サビの発生が大きく影響します。

加工機本体の値段

 この項目は、ご依頼者様にはあまり関わりのない部分かと思いますが、一般的に「水タイプ<油タイプ」という価格構造です。
 特に油タイプの場合、優位性がある極細線(φ0.05mmなど)も消耗品ですが高価な上、加工時間も長時間に及ぶため、世の中の需要が「水タイプ>油タイプ」という構図になっていることも要因かと思います。
 その他、油加工機は燃えにくい油とはいっても油ですので、消化設備を装備しなければいけないなどもあるため、費用がかさみます。